移動・転倒対策
浴室で立ったまま身体を洗うのがつらそう。いすを置きたいけれど、狭くならないか、立ち上がれる高さか分からない。そんな迷いはありませんか。
座る姿勢や立ち座りに不安がある方は、背もたれとひじ掛けがある折りたたみ式を基本に考えます。ただし、いちばん大切なのは商品名より、本人の身体と浴室に合う寸法です。
この記事では、シャワーチェアのタイプ、浴室で測る場所、座面高さの決め方と3商品の違いを紹介します。
先に結論
立ち座りや座る姿勢が不安なら、背もたれ・ひじ掛け付き
身体を洗っている間の姿勢を支えやすく、ひじ掛けを使える設計なら立ち座りの動作も考えやすくなります。ひじ掛けは手すりの代わりではないため、取扱説明書の範囲で使います。
狭い浴室では、本体幅だけでなく前後の脚幅と介助動線を測る
ドアが開くか、排水口をふさがないか、介助者が横に立てるかまで確認します。使わないときにたたむなら、折りたたみ後の厚みと置き場所も必要です。
座面高さは、足裏が床につき、立ち上がりやすい位置へ
低すぎると立ち上がる負担が増え、高すぎると足が浮きやすくなります。座る姿勢や関節の動きに不安がある場合は、購入前に福祉用具専門相談員などへ相談してください。

シャワーチェアは支え方と大きさで選ぶ
01 背もたれ・ひじ掛け付き
座る姿勢や立ち座りに不安がある方へ検討しやすいタイプです。
- 背中と左右の腕を支えやすい
- 跳ね上げ式なら横からの移乗を妨げにくい
- 部品が増えるため、本体幅と手入れ箇所も増えやすい
- ひじ掛けや背もたれへ強く体重を預ける使い方は避ける
02 背もたれ付き・ひじ掛けなし
座る姿勢は保ちやすいものの、左右のひじ掛けが不要な方に向くタイプです。
- 横から身体を洗う介助がしやすい
- ひじ掛け付きより幅を抑えやすい
- 立ち座りで手を置く場所は別に考える必要がある
- 一人で安定して座れるかを先に確認する
03 背もたれなし
座る姿勢が安定し、浴室の狭さや取り回しを優先したい場合の候補です。
- 小さく軽い商品を選びやすい
- 身体の向きを変えやすい
- 背中を支えられない
- ふらつきや疲れがある方には慎重な判断が必要
購入前に見る4つのポイント
01 浴室の置ける範囲を実測する
洗い場の幅と奥行、ドアの開閉、蛇口、排水口、浴槽との間隔を測ります。本体寸法には、脚が広がる奥行の範囲が示されている商品もあります。
介助する場合は、いすだけが入ればよいわけではありません。横や後ろに立つ余地と、本人の足を置く場所を残します。
02 座面高さと幅を本人に合わせる
足裏が床につき、深く腰掛けられる高さと幅が目安です。立ち上がりにくさ、膝や股関節の痛み、身長、座る姿勢は人によって異なります。
高さ調整脚は4本を同じ高さにし、調整ピンが確実に固定されたことを毎回確認します。
03 開閉方法と収納場所を確かめる
毎回たたむ家庭では、濡れた状態でも無理なく操作できるかが大切です。指や足を挟まない位置で開閉でき、たたんだ後に安定して置けるかを確認します。
04 外して洗える部品と交換部品を確認する
座面や背もたれのクッションを外して洗えると、裏側まで手入れしやすくなります。脚ゴムやクッションを交換できる商品なら、傷みが出たときの相談先も確認しておきます。

使う前に、ロック・脚ゴム・床を確認する
シャワーチェアは浴室の洗い場の、平らで安定した場所へ置きます。浴槽の中へ沈めたり、マットやすのこの上へ置いたりせず、4本の脚ゴムが床についていることを確かめます。
折りたたみ式は、座面が水平になるまで開き、ロックが固定されたことを確認します。使用前後には、床といすについた石けんやシャンプーを洗い流してください。
座る姿勢や立ち座りが不安定な場合は、介助者が付き添います。急なふらつき、意識がぼんやりする、息苦しさなどがあるときは無理に入浴せず、必要に応じて医療職へ相談してください。
背もたれ・ひじ掛け付きシャワーチェア3商品の比較
立ち座りと座る姿勢を支えやすいタイプから、幅、座面高さ、取り回しの違いが分かる3商品を選びました。順位だけで決めず、本人と浴室に合うものを選んでください。
| 商品名 | 位置づけ | 使用時の寸法 | 座面高さ | 重量・電源 |
|---|---|---|---|---|
| アロン化成 折りたたみシャワーベンチA-Sフィット | 幅と座面高のバランス | 幅44×奥行43~51×高さ68~78cm | 36~46cm | 約3.5kg・電源不要 |
| パナソニック シャワーチェア(Air)コンパクトSPワンタッチ | 狭い浴室・低めの座面 | 幅40.5×奥行37.5~46.5×高さ60.5~70.5cm | 31.5~41.5cm | 3.3kg・電源不要 |
| リッチェル やわらかシャワーチェア クレオ折りたたみ(防カビプラス)肘掛付520 | ゆったりした幅・高めまで調整 | 幅52×奥行45.5~56.5×高さ66~78cm | 36~48cm | 5kg・電源不要 |
選び分けやすい3商品
総合バランス、浴室の狭さ、座面のゆとりという異なる役割で比べます。
総合おすすめ
アロン化成 折りたたみシャワーベンチA-Sフィット
幅44cm、約3.5kgで、開閉と手入れにも配慮されたタイプ
- リング形状のレバーで折りたたみ
- 背もたれを押して開く構造
- 凹凸を抑えた手入れしやすい設計
座面高36~46cmが合い、幅を抑えながら背もたれとひじ掛けも欲しい家庭に向きます。
- 本体幅
- 44cm
- 重量
- 約3.5kg
- 最大使用者体重
- 100kg
注意点:4脚を同じ高さに調整し、完全に開いて固定されたことを確認します。色により商品コードが異なります。
コンパクト重視
パナソニック シャワーチェア(Air)コンパクトSPワンタッチ
幅40.5cm、折りたたみ厚13cmのコンパクトタイプ
- 背もたれ・跳ね上げ式ひじ掛け付き
- 座面高を31.5~41.5cmで6段階調整
- 座面・背もたれクッションを外して洗える
洗い場や収納場所が狭く、低めの座面が身体に合う方へ検討しやすい商品です。
- 本体幅
- 40.5cm
- 重量
- 3.3kg
- 最大使用者体重
- 100kg
注意点:座面幅は32cmです。体格に合うかを確認し、背もたれやひじ掛けを手すり代わりにしません。
ゆとり・高さ重視
リッチェル やわらかシャワーチェア クレオ折りたたみ(防カビプラス)肘掛付520
幅52cmで、座面高を48cmまで調整できるタイプ
- 大きめの背もたれと跳ね上げ式ひじ掛け
- 座面高を36~48cmで7段階調整
- ソフトパッドを外して洗える
洗い場に余裕があり、座面の幅や高めの調整範囲を重視したい方に向きます。
- 本体幅
- 52cm
- 重量
- 5kg
- 最大使用者体重
- 100kg
注意点:3商品の中では大きく重いため、浴室と介助動線を実測します。浴槽内やマット・すのこの上では使いません。
選び方のポイント
幅と使いやすさのバランスなら
A-Sフィットは、幅44cmと開閉・手入れのしやすさを両立したい家庭の候補です。
洗い場と収納が狭いなら
ユクリアAir コンパクトSPは、低めの座面と幅40.5cmが本人に合うか確認します。
ゆとりと高めの座面なら
クレオ 肘掛付520は、幅52cmを置け、座面高48cmまで必要な場合の候補です。
介護保険を使うなら、購入前に相談する
厚生労働省は、入浴用いすを介護保険の福祉用具販売の対象種目に含めています。ただし、本人の認定状況、購入先、申請方法などの条件があります。
先に自己判断で購入せず、指定を受けた福祉用具販売事業者へ相談してください。すでにケアプランがある場合はケアマネジャーにも相談し、自治体の手続きを確認します。
段ボールや新聞紙で、置く範囲を先に作ってみる
数字だけでは、浴室に置いたときの圧迫感や介助者の立ち位置を想像しにくいものです。候補商品の最大幅と最大奥行を床へ紙や養生テープで示すと、ドアや足元との干渉を確かめやすくなります。
そのうえで、本人が普段使う方向から座れるか、シャワーへ手が届くか、介助者が無理に身体をひねらず支えられるかを確認します。試用できる販売事業者なら、実物で開閉と立ち座りを確かめてから選ぶと安心です。
まとめ
シャワーチェアは、背もたれやひじ掛けの有無より先に、本人が安定して座れるか、浴室に安全に置けるかを確認します。
まず洗い場と介助動線を測り、本人に合う座面高さを福祉用具専門相談員などと確認してください。購入後は、毎回ロックと4本の脚を確かめてから使いましょう。

